最終日は日曜にも関わらず9時半からのセッションでしたが、午前中は元気に中会議室のセッションに参加。
田中さんのSocketの改良の話は、私にはちょっとテクニカルすぎましたが、おかげでNFSをマルチホームで使った際に発生した障害の原因らしきものに気がつきました。ありがとうございます。
artonさんのセッションは、なかなかためになる小技が聞けて収穫でした。
ごとけんさんの、いつものシリーズも、肩に力が入らないセッションで、ちょっとした作業をRubyで自動化する姿勢は見習いたいものです。あと出力をcvsではなくタブ区切りにする工夫もなるほどと思いました。
西山さんのrubygemsの落とし穴については、知っている事も多かったのですが、行儀の悪いgemをsudoでインストールすると怖いという話は正直びっくりでした。Debian系に関しては、私はrubygemsのdpkgは使わず、手動でインストールするのがよいと思っていますが。
午後のセッションは、James Edward Gray II (JEG2)さんのネットワーク監視の話とAaron PattersonさんのXMLの話を聞きました。
JEG2さんのScoutについては、名前だけは知っていたのですが、興味深い取り組みだと思いました。普通、長時間常駐が必要なアプリをなかなかRubyで書こうとは思わないものですが、プロセス監視を別の軽量なプロセスで行うという発想は面白いですね。
「ひげの山男」ことAaronさんのセッションは、現場にいた人でないと解らないかもしれませんが、爆笑の連続でした。その中でも、ちゃんと技術的なメッセージが伝わっていたのはすごいです。
最後の技術セッションは桑田さんのErubisのセッションを聞きました。Erubisも使った事がないので、使ってみようと思ったのですが、最後にどんでん返しで、これからはTenjinですと言われたのはびっくり。Sinatraの人からも名前が出ていたし、調べてみなければ。
締めのキーノートは、高橋会長でした。いつも通り?の和服で登場し、ちょっと緊張気味にRubyと日本Rubyの会の課題について語ってくれました。
時間がなかったのでReject会議は昨年に続いてパスしましたが、聞きたかったな。
RubyKaigi 2009の2日目は大変面白い一日でした。
午前中は、Sequel, Sinatra, Ramazeの3つの「軽量」ライブラリの話を聞きました。確かに、用途を既存のあるいはシンプルに考えたRubyコードに「HTTPを喋らせる」という発想は面白いですね。特に配布も簡単なVegasはとても面白く思いました。早速"Gembox":http://code.quirkey.com/gembox/ もインストールしてみました。あと、Sequelについては、まさにSQL使いのためのORMですね。1日目に高井さんの「エンタープライズRails」の話を聞いていたので、説得力倍増です。
午後からは、コミュニティアピールに続いてまつもとさんのキーノートです。いつもながらのトークは楽しかったです。そして、LT。昨日のLTもなかなかでしたが、今日のLTも力作ぞろいで、LTこそRubyコミュニティのパワーですね。
最後の駒は、1階の特別会議室でのテクニカルな?セッションシリーズに出席しました。
「Rubyのゴッドファーザー(名付け親)」である石塚さんが、楽天の増田さんと一緒にやっているFairyと分散オブジェクトのDeepConnectの話をした後、「分散オブジェクトと言えばこの人」の咳さんの登場です。さすが咳さん、ほとんど冗談でプレゼンをしているようでいて、技術的には核心を突いた見識がすばらしいところですね。
その後、Rubyのテストメンテナの遠藤さんが、プロジェクトのカバレージの変動をモニタリングするツールの説明をしてくれました。そして、カバレージを落とすMさんの話も。これも大変面白かったのですが、時間が余ったからと行って披露してくれたハッキングの数々にはみんなあっけにとられていましたね。
そして、これが一番RubyKaigiらしいと思ったのが、NariさんのGCの話と、その後の質疑応答でした。質問にたった、RHGの青木さんやYARVの笹田さんが、「GCは良くわからないのですが」と前置きをつけて質問したのにはみんな爆笑。
そうそう。昼休みには、話題の「パターン、Wiki —時を超えた創造の原則」の著者の江渡さんのサイン会があり、しっかりサインをもらってきましたが、これから読むので感想はまた後日。
RubyKaigi2007からだいぶたってしまいましたが、振り返ってみて印象に残っている点を記しておきたいと思います。
なんといっても、「達人プログラマー」Dave Thomasの"セッション":http://jp.rubyist.net/RubyKaigi2007/Log0610-S5.html が今回のハイライトであったことは言うまでもありません。特に私が印象深かったのは
自分の使っている仕事の道具を愛せなければ、よい仕事はできない。ただ、仕事をやっつけなければならないものにしてしまったら、1日8時間も9時間も人生を無駄にしていることになる。
というところ。そして、
これからRubyの世界に入ってくる人たちを歓迎する準備をしよう。我々には責任がある。これまで、何万人ものひとをRubyで幸せにしてきたが、これからはもっともっと多くの人たちを幸せに出来る。Matzと日本のコミュニティの人たちがいるから大丈夫。
と言う(意訳です)クロージングのところです。
Daveの講演以外に印象に残っているのは、高井さんの"JRubyのセッション":http://jp.rubyist.net/RubyKaigi2007/Log0610-S1-02.html とRejectKaigi2007の"From Ruby To Java":http://jp.rubyist.net/RubyKaigi2007/LogRK-15.html 。もちろん、御本家のCharles NutterとThomas EneboのJRuby1.0リリース講演もよかったのですが、内容は既に承知のものがほとんどだったので。
それから、やはり"「まじろう」":http://jp.rubyist.net/RubyKaigi2007/Log0610-S1-04.html でしょう。AP4Rについては、ニュースリリースの際に目にしていたのですが、既に海外で使われていたのですね。
これ以外にも、たくさん面白いことはあったのですが、"速報ログ":http://jp.rubyist.net/RubyKaigi2007/Log.html をみていただくことにしてこの辺で。